「昔の女性は」話に惑わされないで
更年期関係の記事や書籍を読んでいると、時々信じられないような記述を目にすることがあります。
「昔の女性は平均寿命が50歳で、子どもをたくさん産んでいたため、今より生理の回数が少なく、閉経する頃には亡くなっていた。」
とかね。
いろいろ、おかしいですよね。
まず、平均寿命の意味を理解しておられないように思います。
平均寿命は、人が何年生きられるかという数字ではありません。0歳の子がどれくらい生きられるかという平均余命のことですから、栄養状態が悪かったり、医療が今ほど進んでいなかった時代には、乳児の死亡率が高く、平均寿命が短く算出されるだけなのです。
当然、長生きする人もたくさんいました。江戸時代だって、平均寿命こそ30〜44歳とされていますが、平均余命でいえば、73〜74歳だったそうですよ(詳しくは、こちらの記事がとても勉強になります)。
それに、みんながみんな、子どもをたくさん産んでいたわけではないでしょう。
実際江戸時代の生涯未婚率は50%と言いますし、子どもを持たない選択をした人や、子どもを授かりにくい体質の人も、当然にいたわけです。だからこそ、お殿様にはたくさんの側室がいたし、全国各地に子宝の湯があるのはその名残ではありませんか。
もちろん、そのような人生を送った人もいるかもしれません。でも、女性をひとくくりにすると、事実・史実からは大きく乖離していきます。今でも、女性が子孫繁栄の為だけに存在しているかのように勘違いしている政治家の発言なども見受けられますが、そういう人たちの意識を変えていく為にも、このような誤解を解き、事実を伝えていかねばなりません。
専門書だからといって、そこに正解がある訳ではないのだな、と私は良く思います。
「昔は良かった」かのように思わせるような情報ってたくさんありますが、特に、わざわざ今を辛く思わせ、苦しめるような嘘なんて、どうかどうか、信じないでください。
正解を他人に譲ってはなりません。真実はいつも、私たちの中にあります。
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